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1956年度版自衛隊年鑑まとめ(郷土防衛隊大綱編)

そもそも郷土防衛隊大綱とは?

1955年(昭和30年)に当時の防衛庁長官であった砂田重政氏が閣議決定を経ていない個人の見解として発表した、自衛隊の後方支援と郷土防衛を担う組織としての郷土防衛隊構想。

砂田氏は地域社会の青年壮年を対象に郷土防衛隊を組織する必要性を説いていた他、同時に予備幹部自衛官構想(諸外国におけるROTC課程制度)を掲げ、大学生及び高等学校卒業生を修業前に1年間程度、幹部予備自衛官に任用し国の防衛に対する知識と経験を修得させるとしました。

しかし、このことが世論の反発を受け、案は事実上却下され砂田氏は防衛庁長官から更迭されるに至ります。

この一連の構想についての砂田氏の発言は砂田放言と呼ばれています。

ただし、1956年度版自衛隊年鑑には(恐らく改稿が間に合わなかったのか)記載されてるため、今回はそれをネタにしていきたいと思います。

以下、本文です。 

郷土防衛隊の大綱
ー5年後5万名目標ー

防衛庁で構想している郷土防衛隊の設置に関する大綱は次の通りで、通常国会にこの設置法案を提出することになっている。*1

1.目的ー郷土(各都道府県)の防衛を目的とし、非常の際、自衛隊と協力して防衛にあたる。

2.募集方法ー18以上45才までの男子を対象に府県*2ごとに募集し、31年度には全国5万人、即ち35年度末には5万人を予定する。

3.訓練ー毎年20日以内、各地の自衛隊所在地で訓練する。

4.給与ー毎月1人5百円*3を支給する。訓練のさいは特別の手当を出すほか作業服などを支給する。ただし31年は募集の関係上、給与は3ヶ月分支給の予定。

5.編成ー平時は特に隊員を編成せず、有事のさいだけ編成する。

6.指揮系統ー郷土防衛隊が編成されるさいは、当該管区総監*4直轄のもとに置く。

7.階級ーとくに階級をさだめず、大隊長・中隊長などの編成を設ける。

8.装備ー小銃(M1ガランド)または機銃(M1917ないしM1919機関銃)を装備する。

9.指導官ー31年度は自衛隊から出すが、漸次郷土防衛隊から指導官をつくる。*5

10.隊員の募集および訓練は自衛隊地方連絡部*6が行う。

*1:通過するとは言ってない

*2:府県…?この当時は既に東京府は東京都に改称されてる為、恐らく脱字

*3:年初任給基準で凡そ現代価格にして18,000円前後

*4:現在の方面総監、この当時は保安隊から改組されたばかりでNPR(警察予備隊)及び保安隊の名残で2個方面隊、6個官区隊、2個混成団が混在していた為

*5:雑な推論ですが、恐らく先述した予備幹候生が幹部候補生課程を修了し、民間復帰した際に郷土防衛隊にて指導官として勤務させようと目論んでいたのでは?と思っています

*6:現在の地方協力本部